コラム2


第2回コラム「骨密度検査のすすめ」(2009.8.29)

骨のカルシウム量減少により骨が脆弱化し、簡単に骨折をまねく疾患が骨粗鬆症です。初期には痛みもないため、気づかぬままに進行すると骨には多くの孔があき、フランスパンの切り口によく似た状態になってしまいます。「最近、背骨が曲がってきた」とか「以前より身長が縮んできたみたい」と思われたことはありませんか。50歳以後に身長が2センチ以上、若い頃から5センチ以上縮んでいるようなら要注意です。(「日医ニュース・健康ぷらざ」より)骨密度低下の要因には、カルシウム摂取不足、吸収量不足、運動不足、女性ホルモン分泌の低下などが挙げられますが、骨の果たしている役割のひとつ、「血液中のカルシウム濃度を常に一定に保つ働き」とも深く関わっています。決まったカルシウム濃度、血液100mlあたり8.7~9.7mg(体質による個人差あり)という値が細胞が正常に働くためには大切です。食事から大量にカルシウムが摂取されると、腸管から血液に取り込まれるカルシウム量は制限され、余分なカルシウムは便や尿に排出されて血液中のカルシウム濃度が濃くなりすぎないようにします。しかしその時、骨に負荷がかかれば、骨をより強固にしておくためにカルシウムは蓄えられます。反対に、カルシウム摂取が少なく、カルシウム吸収を助けるビタミンD摂取も少ない場合、便や尿へのカルシウム排出は制限されますが、それでもまだ血液中のカルシウム濃度の低下が避けられなければ、骨のカルシウム分を溶かし出して血液へ送ります。これが骨量低下につながっていきます。

高齢者が寝たきりになる原因の疾患は様々ありますが、骨粗鬆症による転倒→大腿骨骨折、治癒に時間を要して体力低下、その結果として寝たきり、というような構図は避けることが可能です。また、骨量低下を老化現象だとあきらめることもありません。若い人でも、ダイエットや運動不足、デスクワークの多い日常生活では骨が弱くなりがちですし、逆に、日頃からよく運動したり、骨に荷重のかかる活動を多くしている高齢者であれば、骨に沈着するカルシウム量は多くなり、骨を強く保つことができます。

骨量低下は血液検査や尿検査では分かりにくいため、早期発見には骨密度検査を受けて、定期的にチェックする必要があります。骨は身体の“屋台骨”、骨の健康を目指して、まず現在の自分の骨量を知ることから始めましょう。当クリニックでは、踵の骨で測定できる超音波法の骨密度検査を行っています。気楽にしていただける検査ですので、ご希望の方は是非お問い合わせください。